物理の小さい余白 物理の大事な骨の部分だけを独自にまとめましたサイトです
ご意見ご感想はこちらまで(「」内に@gmail.comを付けてください) 「ysdswallow」
top page 微分・積分のまとめ ニュートン力学のまとめ
電磁気のまとめ 解析力学のまとめ 数値計算(微分方程式)のまとめ
おすすめ参考書等紹介

Chapter 4
惑星の運動

さて、今までに出した保存則をうまく使ってニュートン運動方程式の花形、惑星の運動を考えて見ましょう。今太陽は充分 重いのでその位置は動かないで原点にあると仮定して考えていきます。M  を太陽の質量、r  を太陽からの距離、惑星の 質量をm  とすると運動方程式は

  d2r     GmM   r
m dt2-= - -|r|2--|r|
(4.1)

となります。ここで今力は太陽の方向、つまり原点の向きにしか働かないのでxyz  座標で考えるより極座標で考えたほう が便利です。

さて、しかしここで問題なのが微分です。ニュートン運動方程式は基本的にxyz  座標で考えられています。なので座 標を変えたときは微分の部分が変化します。具体的に見てみましょう。極座標(2次元)とxy  座標の関係 は

x = rcosθ

y = rsin θ
ですので一回微分は
dx   dr            dθ
dt-= dt cosθ - rsin θdt
dy   dr            dθ
dt = dt sinθ +r cos θdt
二回微分は
d2x   d2r       dr     dθ        (dθ)2        d2θ
dt2 = dt2 cosθ- 2-dt sin θdt - rcosθ dt - rsin θdt2
 2     2                        (   )2         2
d-y = d-rsin θ+ 2dr cos θdθ- rsinθ  dθ   + rcosθd-θ
dt2   dt2       dt     dt         dt          dt2
また
     r
er = |r| = (cosθ,sinθ)                               (4.2)

   eθ = (- sinθ,cosθ)                                (4.3)
でこれから
( d2r)       (d2x d2y )
  dt2    =    dt2 ,-dt2 ⋅er                            (4.4)
      r            (   )2
         =   d2r- r  dθ                               (4.5)
             dt2     dt
右辺第二項はいわゆる遠心力の項です。あとθ  方向は
(  2 )       ( 2   2  )
  d-r    =    d-x, d-y ⋅eθ                            (4.6)
  dt2 θ       dt2  dt2
              drdθ    d2θ
         =   2dtdt + rdt2                             (4.7)
             1 d(  2dθ)
         =   rdt  r dt                                (4.8)
となります。このように座標を変えるとちょっと見にくい形になり、面倒なのがニュートン運動方程式の欠点です。さてこ れから
  (             )
    d2r   ( dθ)2         GmM
m   dt2 - r dt      =  - --r2--                         (4.9)
           (     )
     m 1 d- r2dθ    =  0                               (4.10)
       r dt   dt
まず、二つ目の式を見ていきましょう。整理すると
  (     )
d-  r2dθ  = 0
dt    dt

ですが 2dθ      dθ
r dt = r ⋅rdt  は r かけるθ  方向の速度、つまり角運動量(から質量を割ったもの)になっています。今これが時 間によらず一定なのでその値をl  と置くと

dθ   l
-- = -2
dt   r
(4.11)

となります。

さて、もうひとつの式

d2r    (dθ)2     GM
--2 - r --   = - --2-
dt      dt        r

ですが、今この式から惑星の楕円運動が出てくればうれしいわけなので時間ごと r の値より実はθ  ごとの r の値のほうが やりやすいわけです。なのでまず、時間微分をθ  微分に書き換えをします。

dr  =  dr dθ                                  (4.12)
dt     dθ dt
    =  dr l-                                  (4.13)
       dθ r2
         -d 1
    =  - ldθ r                                 (4.14)
         du-
    =  - ldθ                                   (4.15)

 2
d-r  =   dθ-ddr                                  (4.16)
dt2      dtdθ dt
     =   l-d-- ldu-                              (4.17)
         r2dθ   dθ
     =  - l2u2 d2u-                                (4.18)
              dθ2
よって
- l2u2d2u - u3l2 = - GM u2
      dθ2
(4.19)

d2u + u = L
dθ2
(4.20)

u = A cos(θ+ α )+ L
(4.21)

    ----a----
r = 1+ ϵcosθ                                    (4.22)
となります。さて、これが本当に楕円軌道になっているか見てみましょう。

まず、ϵ = 0  のとき r はθ  に依存しないわけですからどのθ  でも r 一定、つまりこれは円軌道になります。では ϵ ⁄= 0  のとき、

x = rcosθ

y = rsin θ
に r を代入して
    ----a----
x = 1+ ϵcosθ cosθ
y = ----a----sin θ
    1 +ϵ cosθ
cosθ,sinθ  について解き直し
         x
cosθ = a--ϵx-
         y
 sinθ = a--ϵx-
それぞれ二乗してたすと
               2          2
           ---x---- + ---y----= 1
           (a - ϵx)2   (a- ϵx)2
(1--ϵ2)2-(    -aϵ--)2   1--ϵ2 2
  a2     x+  1- ϵ2  +   a2  y = 1
これから0 < ϵ < 1  ϵ > 1  )のときは楕円(双曲線)の式
x2     y2
a2 + (- )b2 = 1

を満たしていることがわかります。このようにニュートンは惑星の運動さえも証明し物理の夜明けを華々しく飾ったので す。